・母音の無声化
・通鼻濁音
・連母音/長音
母音の無声化
●五十音は、母音(a,i,u,e,o)と子音からできています。単音には、無声音と有声音があり、母音は原則として有声音です。有声音とは、声を出して発音するもの。無声音とは、声は出さずに唇や舌や息の音だけのものです。一つの音節 カ (Ka) は、子音 「K」 と母音 「a」の結合した音です。その中で子音 (k,f,s,t,h,p) は無声子音ですが、子音には有声子音(m,y,n)もあります。本来有声音である母音は、(i)と(u)の前後を無声子音 (k,f,s,t,h,p)で挟まれた場合、無声音になります。これを母音の無声化といいます。
●無声音とは、声帯が振動せずに出るわずかな息だけの音です。
有声音とは、声帯が振動して声が作られる音です。
●有声音と無声音のちがいは、喉のあたりに手を軽くあててみると判ります。
有声音⇒「アー」と声を出すと声帯の振動が手に伝わってきます。
無声音⇒ガラスに息を吹きかけるように「ハァー」と息を出すと声帯は震えません。 ⇒静かにしなさい!!の「シー」も無声音です。
●母音の無声化は原則的には、口の開きの狭い母音イ(i)とウ(u)が無声子音にはさま れたとき、無声子音に続く(i)や (u) が言葉の終わりにある場合におこります。
●菊→ Kiku 無声子音KとKに挟まれた母音(i)は無性化します。
●例 kiku(菊) 、kita(北) 、shika(鹿) 、sukoshi(少し)、 chikara(力) 、hito(人) 、 fukai(深い) 、pikari(ピカリ)、 arimasu(あります) 、kaesu(返す)、kashi(菓子)、 ashi(葦) 、fuku(服)kiso(基礎)sukoshi(少し)、sekkyokuteki(積極的) Kitte(切手) kutsu(靴) utstukusii(美しい)
※例外的に、口の開きの大きい母音ア(a)とオ(o)の無声化現象もあります。
katai(固い) 、katana(刀) 、koko(此処)、 kokoro(心)
●上の単語の太字部が無声化します。できているかどうかチェックするには耳をふさいで発音してみます。そうすると無声化した音はほとんど聞こえません。 「積極的」ならば「せっきょ てき」と聞こえれば合格です。
●(i)と(u)が言葉の終わりにあり、その前が無声子音の場合も無声化します。
(例)~です。「desu」~ます。「shimasu」
以上が『母音の無声化』の原則です。例外もあります。これは鼻濁音と違って理論 で理解しても実際に話すときにはなかなか実行が難しいです。耳で聞いて覚えるしか ありません。テレビやラジオのアナウンサーの声を良く聞いて真似をしてみましょう
●母音の無声化例題
「ピカピカ光る服を着た人が、つかれきった視線をおとして薬を 口に含むと、力なく腰掛けて描きかけの菊を捨てています」
「ピカピカヒカルフクヲキタヒトガ、ツカレキッタシセンヲオトシテクスリヲクチニフクムト、チカラナクコシカケテカキカケノキクヲステテイマス」
※のどに軽く手をあてながら読んでみましょう。
通鼻濁音(鼻濁音)
● 鼻濁音は、「ガギグゲゴ」を鼻に抜けるように発音したものです。ふつうの「ガ行」に比べて、鼻にかかったやわらかい感じの音になります。鼻濁音ができているかどうかチェックしてみましょう。「午後」と言ってみてください。「午」と「後」が違う発音になれば合格です。できない人は「マンガ」「文具」と言ってみましょう」。鼻濁音の練習としては、はじめはガの前に「ん」の音をつけてンガ、ンギ、ング、ンゲ、ンゴ、ンギャ、ンギュ、ンギョ、と発音し、次第にその間をつめて最後に一緒にして発音すると良いでしょう。
濁音 鼻濁音
銀行 ギンコー 大群 タイグン
群集 グンシュー 日銀 ニチギン
芸術 ゲイジュツ 工芸 コーゲー
豪傑 ゴーケツ 文豪 ブンゴー
群集 グンシュー 反逆 ハンギャ
牛乳 ギューニュー 乳牛 ニューギュー
行列 ギョーレツ 奉行 ブギョー
学校 ガッコー 大学 ダイガク
●語頭のガ行音は、すべてそのまま濁音で発音されます。
●第二拍以後のガ行音は、原則として鼻濁音化されます。
「ガギグゲゴ」が言葉の2文字目以降(語中、語尾)にある場合は、原則として鼻濁音になります。
(例)おんがく(音楽)かがく(科学)しょうがっこう(小学校)すぎ(杉)
そうぐう(遭遇)ごご(午後)かがやく(輝く)くぎる(区切る)かぎる(限る)
くぐる(潜る)しょうぎ(将棋)
●助詞の「ガ」は、鼻濁音化されます。
助詞や接続詞の「が」は、すべて鼻濁音になります。
(例)私がやります。遊びに行きたいが、暇がない。花が咲く。 行ったが留守だっ た。 君はそれでいい。が、ぼくはちがう。
●複合語の鼻濁音は、どの程度熟しているかによってちがってきます。複合語は切り離 して考えます。複合語の2文字目以降に「が行」があったとしても、それが元の言葉の1 文字目にあたる場合は、鼻濁音になりません。
濁音 鼻濁
高等学校 小学校
音楽学校 中学校
専門学校
国会議員
人形劇
●連濁(二つの語が結びついて一語になる(複合語の際に、後ろの語の語頭の清音が濁 音に変化する。)すべて鼻濁音化されます。
氷⇒天然氷 こおり→ごおり
貝⇒真珠貝 かい→がい
雲⇒飛行機雲 くも→ぐも
車⇒口車 大八車 くるま→ぐるま
会社⇒株式会社 かいしゃ→がいしゃ
鯉⇒緋鯉 こい→ごい
柿⇒干し柿 かき→がき
第二拍以後でも、鼻濁音化されないガ行音
●数詞の「5」は、語頭・語中・語尾のどこにあっても鼻濁音化されません。
(例) 5月 15日 55人 5×4=20 25歳 第5位
ただ、つぎにあげるような熟語や人名の場合は、数としての本来の意義が薄れているため、ふつう鼻濁音化されて発音されます。
十五夜 七五三 七五調 為五郎 大五郎
● 軽い接頭語のつぎのガ行音は、たいていの場合、鼻濁音化されません。
(例) お元気 お行儀 朝ごはん お月謝
●擬音語、擬態語などや、漢語の重ね言葉の場合は、鼻濁音化されません。
(例) ガタガタ ギリギリ グズグズ ゲラゲラ ゴソゴソ 侃々諤々(カンカンガク
ガク) 喧々囂々(ケンケンゴーゴー)
● 外来語は鼻濁音になりません(ふつうの「ガ行」の発音です)。
(例)アレルギー キログラム ワイングラス 窓ガラス
●ひとつの語や、語のつながりの中で、母音が二つ以上続く場合を“連母音”といいます。 連母音「エー」「オー」と発音し、注意する点は次のとおりです。
●エ・イ(e・i)の連続は、「エイ」ではなく「エー」と長音で発音する。
(例)エーガ(映画)トケー(時計)ミライエーゴー(未来永劫)エーセー(衛星)
● エとイの間に意味の切れ目があるときは長音にしません。
(例) ため息 ○タメイキ ×タメーキ 負け戦 ○マケイクサ ×マケークサ
● 同じ母音が連続するときは長音になります。
アa+アa お母さん オカーサン aa
イi+イi お兄さん オニーサン ii
ウu+ウu 空港 クーコー uu
エe+エe お姉さん オネーサン ee
オo+オo 灯火 トーカ oo
●意味の区切りをはっきりさせるときは長音にしません。
ア+ア 場合○バアイ×バーイ
イ+イ 黄色○キイロ×キーロ
ウ+ウ 安請け合い○ヤスウケアイ×ヤスーケアイ
エ+エ 影絵○カゲエ×カゲー
オ+オ 里親○サトオヤ×サトーヤ
●長音例題
めいめい慶応 明治 法政で,経営経済学を専攻した経営層。
メーメーケーオーメージホーセーデケーエーケーザイガクヲセンコーシタケーエーソー。
妹の芸名は先生に命名してもらった。
イモートノゲーメーハセンセーニメーメーシテモラッタ。
生産者の申請書を審査した。
セーサンシャノシンセーショヲシンサシタ。