共通語アクセント
アクセント(a c c e n t)・・・言葉の調子。語調ともいう。これは、一つの言葉の中で特に高く発音するところ。
●日本語アクセントの原則
1)高低アクセント(英語のような強弱アクセントではない
2)第1音節と第2音節の音の高さは必ず異なる。
3)1単語のアクセントは1か所、2か所にまたがらない
4)アクセントの型は4つ。
頭型型、中高型、尾高型、平板型
日本語のアクセントは「高低アクセント」、英語・ドイツ語などには「強弱アクセント」の習慣があることはよく知られています。それぞれの地方・地域の言葉(方言)は、細かなニュアンスを伝えることの出来る温もりいっぱいの「しゃべり言葉」で、まさに文化です。方言と標準語とを対比させて、方言が不正のもの、卑しいもの、不等なもので、標準語は正しく、上品なものだというふうに考えられがちですが、方言も標準語も同じ価値をもつ言語であり、どちらが上品ということはありません。しかし、標準語(共通語)が東京語を主体にした言語圏の言葉であるだけに、アナウンサー・ディスクジョッキー・俳優・日本語教師といった「発音言語」の職業を志す場合、そういった人には、「もう一つの言語」つまり標準語の発音、とりわけそのアクセントを正しく身に付けなければならないのです。
単語の標準アクセントの基本的なルールは?
①アクセントの型は四種 平板型 尾高型 頭高型 中高型
②平板とは、必ず第一音節だけが低い。
③頭高とは第一音節だけが高い。
④アクセントが一つの語の中で、はなれた二ヶ所以上の音節に別々に出ることはない。
第一音節から第二音節にかけては、必ず高低の変化がある。アクセントを正しく身につけるための最大のポイントは、アクセントの下がりめの位置を正確に音声で表現できるかどうかです。(核とか折れ目という)
アクセントの型
アクセントには、四種類の型があります。
日本語では音の高低をつけ、そのポイントを変えることによって、これを区別します。
例えば「雨」という言葉は、『ア』を高く、『メ』を低く発音します。こうしたアクセントの型を「頭高」アクセントと言います。頭高アクセントは、単語の第一音節だけを高く発音するものです。 「尾高」アクセントは、「男」「女」という単語で説明します。オトコ、オンナをそのまま読むと、『オ』よりも後ろの二文字が高くなるはずです。そして、直後に「に・を・は・が・・・」などの助詞をつけると、その助詞に向かって音程が下がります。尾高のアクセントはこうした性質を持つのです。 それから、「平板」アクセントのものもあります。これは、後に続く言葉に関わりなく、平たく発音するものです。例えば、「飴・いちご・時間・日本語・風・・・」などの単語がそうです。しかし、平たくといっても必ず第一音節だけは低く読みます。 最後に「中高」アクセントです。これは単語の真ん中辺りを高めるものです。「カタカナ・座布団」などがそうです。
*第一音節と第二音節にかけては必ず高低の変化が見られます。
名詞
名詞には、あらゆる型の種類がみられます。
次の表に示すように、二拍語には「平板型」 「尾高型」 「頭高型」の三種類、三拍語には「平板型」 「尾高型」 「中高型」 「頭高型」の四種類というふうに、名詞のアクセントの型の種類は、拍数より一つだけ多くなります。
まず、基本的なアクセントの型をしっかりと身につけることが大切です。これれのアクセントの型は、種類によって似た性質を持っています。それは、助詞や助動詞が付いた場合も同様です。ハナ(鼻)とハナ(花)のように、名詞単独ではアクセントの変わらない平板型と尾高型も、次に助詞や助動詞がつくと、ハナガ(鼻)、ハナガ(花)と異なったアクセントの型になります。
名詞の型の数は、おわかりのように拍数より一つだけ多いのですが、それらに所属する語彙にはかたよりがあります。例えば、一拍語、二拍語では頭高型が多く、漢語、外来語や、新造語、日常あまり用いられない言葉などは、殆どこの型です。三拍語には平板型が多く、漢語・外来語はこのほか頭高型も多くあります。
外来語のアクセント
二拍のもの(二つの音で構成する単語)は日本語のように使われ平板になったもの・・・例えば、印刷の「ゲラ」など・・・を除いて、まず頭高と覚えておきましょう。また、外来語や外国地名などのうちおよそ七割は「後ろ三拍型」のアクセントです。 「後ろ三拍型」とは、単語の末尾から数えて三拍目にアクセントが来る・・・というものです。例えば、ウールの「ウ」、カメラの「カ」、ユートピアの「ト」などがそうです。長い単語のアクセントについては、「後ろ三拍」というポイントを身につけましょう。
では、何故「後ろ三拍」が多いのでしょうか。外来語は、単語の末尾から数えて二拍目に、長音・撥音・拗音などの「特殊音」が来ることが多く、その結果アクセント位置がズレて、「後ろ三拍型」となるわけです。
動詞のアクセント
三拍動詞(三つの音からなる動詞の単語)の大半は、「ウゴク」 「オチル」などの中高アクセントです。これに対して、「カエス」 「カエル」 「マイル」 「ハイル」などは、「エ」「イ」の音の影響で一拍前に移動します。また、「トオル」 「トオス」などは、『トール』 『トース』という具合に音に直せばわかりますが、アクセントが来るべきところに長音があるので、自然に前にポイントがズレたと考えてよいでしょう。
また、動詞から派生した名詞で、本来は尾高になるはずの、「イワイ」 「ニオイ」 「オモイ」 「ネガイ」などは、みんな中高になっています。これも、「イ」の音の前にアクセントが移動したものです。さらに、音が密着して二重母音のようになる〈ai〉(例「書いた」)、〈oi〉(例「解いた」)あるいは末尾が母音で、前の母音と一緒になって二重母音のようになる「濃い」という単語も同じで、「恋・鯉・故意」と区別の付かない、頭高のアクセントになります。
また、動詞のアクセントには「活用」があり、これはなかなか難解です。例えば「見る」という単語でも、『ミル・ミテ・ミマス・ミナイ・・・』と変わります。「行う」では、『オコナウ・オコナッテ・オコナイマス・オコナワナイ・・・』となります。
複雑な動詞の活用
まず二拍の動詞です。
(例) 「出る」 →「出ます」
「出る」は頭高ですが「出ます」というふうに活用すれば中高になります。
では、二拍の動詞で次の単語を活用すると、どのようになるでしょうか?
「見る」・・・ミル・ミナイ・ミテ・ミマス・ミレバ・ミロ
「降る」・・・フル・フラナイ・フッテ・フリマス・フレバ・フレ
(例) 「乗る」 →「乗ります」 (平板) (中高)
「居る」・・・イル・イナイ・イテ・イマス・イレバ・イロ
「泣く」・・・ナク・ナカナイ・ナイテ・ナキマス・ナケバ・ナケ
次に三拍の動詞です。これには三種類のアクセントがあります。
(例) 「帰る」 →「帰ります」 (頭高) (中高)
「通る」・・・トール・トーラナイ・トーッテ・トーリマス・トーレバ・トーレ
(例) 「洗う」 →「洗います」 (平板) (中高)
「負ける」・・・マケル・マケナイ・マケテ・マケマス・マケレバ・マケロ
(例) 「晴れる」 →「晴れて」 (中高) (頭高)
「食べる」・・・タベル・タベナイ・タベテ・タベマス・タベレバ・タベロ
形容詞のアクセント
「二拍の形容詞」は頭高アクセントです。
「濃い・酸い・無い・良い」
三拍以上の形容詞は、平板・中高の二種類ですが、そのほとんどが「後ろ二拍」の中高アクセントになります。
「○●い」 「○●●い」
また、ごくわずかに平板アクセントのものがあります。
「三拍平板型の形容詞」
赤い・浅い・厚い・甘い・荒い・粗い・薄い・遅い・重い・固い硬い・堅い・軽い・きつい・暗い・煙い・辛い・遠い・眠い・丸い・・・
「四拍以上の平板型の形容詞」
明るい・危ない・いけない・おいしい・重たい・悲しい・黄色い・煙たい・冷たい ・眠たい・平たい・易しい・優しい・宜しい・くだらない・たまらない・・・
副詞のアクセント
二拍の副詞は、概して頭高です。
「だが・ただ・やや・もし・まず・ごく・ぜひ」など。
例外を言えば 「こう(言う)・そう(する)・じき(に)・ふと(気がつく)・
また(来る)・・・などが平板になる程度です。
三拍のものも、「母音無声化」などの影響を受けないかぎり、ほとんど頭高(後ろ三拍型)となります。
(例外)
平板型・・・「あまり・いずれ・およそ・仮に・きっと・ずっと・とても・まるで・むろん・やっと・・・」
中高型・・・「実に・時に・いかに・いやに」母音無声化によって中高になるもの・・・「すこし・ちかく」
四拍以上のものについても少し触れておきましょう。
平板型・・・「あいにく・いきなり・いろいろ・かならず・けっして・
さいわい・さきほど・たちまち・たびたび・だんだん・ときどき・・・」そのほかについては、後ろ三拍を基本に考えてみましょう。
では、ここで練習です。
朝は麻の着物を着る。 厚いコートではもう暑い。
雨の日に飴を買う。 栗を食って泡を食う。
空家に引っ越したが秋には飽きがきた。
医師が石につまずいた。 それ以上は異常だ。
依然として以前のままだ。 遺児は意地になって維持した。
あれ以来、依頼がない。 あの建物は一見、一軒の家に見える。
海のそばで子供を産み、けがをして膿をだした。
手を打ってバナナを売っている。
傘の柄で絵を書いた。 遠藤さんは沿道でエンドウを食べた。
今の演技は縁起がいい。 人気がある園長の任期は延長された。
それは奥に置く。 あなたの思いが重い。 岡さんの家は丘の上にある。
小野さんは斧を買い、貝の箱を壊す。